野菜パウダーのレシピ作りを担当して「楽しい!」が増えました。

いつもレシピを考案して下さる「本格フランス菓子教室 GRAND REVE KITCHEN(グランレーブ・キッチン)」の代表 中村 紀子さんに、「パウダーの魅力」や「レシピ考案を通して感じたこと」などをシェアして頂きました。

代官山の名店『イルプルー・シュル・ラ・セーヌ』のオーナー弓田亨氏、『ル・コルドン・ブルー』で教鞭をとられていたジャンポール・チェボー氏に師事。現在は菓子教室での指導のほか、スイーツの商品開発、レシピ提案&製造も手掛ける。2020年3月まで沖縄県南城市で暮らし、現在は東京都在住。沖縄と東京を行き来し、お菓子教室やレシピづくりなど幅広く活躍中。野菜ソムリエの資格ももつ。

インスタグラムhttps://www.instagram.com/grand_reve_kitchen/
ホームページhttps://vem107726.wixsite.com/grandreve-kitchen

− お菓子づくりを始めたきっかけを教えてください。

中村紀子さん(以下、中村) 父が外国からのお客さんを自宅に招くのが好きな人だったので、母はいつも手作りの料理やお菓子でもてなしていました。小さな頃からそれを見て育ち、母が作るお菓子を食べるのが好きだったので、それが影響しているのだと思います。そして、20代の後半、カフェを開きたいという夢をもち、6年勤めた会社を辞めてたどり着いたのが西表島でした。宿泊していた食事のおいしいペンションのオーナーに「ここで働かせてもらえませんか?」とお願いして、そのままスタッフとしてお客さんに出すスイーツ担当になりました。その後、もっと腕を磨きたいという気持ちがムクムクと湧いてきて、東京で働きながら製菓学校に入ったのが、お菓子作りのスタート地点です。その後、カフェ勤務、ケーキの注文販売、クッキーやケーキの卸し、ビン詰めスイーツ製造などを経て、現在に至っております。

− お菓子づくりでこだわっていらっしゃることはどんなことですか?

中村 最近はコンビニをはじめ、どこでもお菓子って買える時代だと思うんですけれど、手づくりでしかできないお菓子を作りたいという気持ちがあります。それは素材だったり、新鮮さだったりするんですが、素材の良さって味にそのまま出てきますし、工場で作ったものではないフレッシュさが手作りならではの良さだと思うので、そこを大切にしていきたいです。お菓子も見た目ってすごく大事だと思っています。私が20年前に習ったお菓子を今再現したら、少し古めかしく感じるかもしれません。フランス菓子は伝統菓子なので、フランスのお店では普通に並んでいるようなお菓子でも、日本ではアレンジされて出されていることが多いので、日本人はきれいなお菓子を見慣れていますよね。そういう部分を意識していく必要があると感じていて、お菓子教室でも、ほかの教室では作っていらっしゃらないようなものに挑戦したりとか、インターネットでレシピがすぐに調べられるようなものではないオンリーワンのお菓子づくりにこだわっています。

− オキナワパウダーフーズを知ったきっかけは何ですか?

中村 私がフラワーケーキを習っていた時期に、先生がオキナワパウダーフーズの野菜パウダーを使っていて、「こういうものがあるんだ」と初めて知りました。その時はまだ、オキナワパウダーフーズについてはあまり詳しくなかったのですが、私のSNSをたまたまご覧になった方からご連絡をいただいて、オキナワパウダーフーズの平良社長を紹介されたのが、自分で購入して使うようになったきっかけです。私は「こういうものを作りたい」という思いが色々あったんですけど、お菓子屋さんで働いているわけではなかったので、実際に作ってみる機会が少なかったんですね。でも、オキナワパウダーフーズのレシピ作りを担当させてもらってから、野菜パウダーを使って、洋菓子や和菓子、パンまでいろいろなものに使える楽しさを知りました。色がついたパンを作ってみたら、「楽しい」「おもしろい」という感想をたくさんもらいました。

− カラフルなパンが流行っていますが、消費者としては色の成分が気になるところです。

中村 そうですよね。オキナワパウダーフーズの野菜パウダーを使ったパンをご覧になって「天然素材でもこれだけ着色できるんだから、人工的な着色料は使わなくてもいいよね」っていう流れになったらいいですね。

− お菓子教室で野菜パウダーを使ってみられていかがでしたか?

中村 (2020年)12月の教室で3種類のパウダーを使用したのですが、緑色は抹茶とかもあって、日本人にとって馴染みがある色なんです。赤いビーツは「天然のものでこんなにきれいな色が出るのね」と生徒の皆さんもすごく驚かれていました。

− 野菜パウダーを使ったおすすめのレシピを教えてください。

中村 クリームチーズを練って柔らかい状態にし、その中にガーリックパウダーと塩、ビーツのパウダーを入れると赤いクリームができます。それを、生クリームの絞り袋でビスケットの上に載せると、赤いビーツのブルスケッタみたいになって、とってもおいしいんです。知人が家に来た時にもお出しして、すごく好評でした。ポイントは、クリームチーズをしっかり柔らかくしてから混ぜるときれいな色になると思います。

− お菓子づくりで野菜パウダーの上手な使い方についてアドバイスをお願いします。

中村 お菓子作りに卵は欠かせない素材なんですが、卵の卵白が実はパウダーの色にとって曲者みたいです。野菜パウダーの色をきれいに出すためには、生地を酸性にもっていくことが重要です。でも、卵白はアルカリ性。そうするとお菓子の生地がアルカリ性に近づいてしまうので、これによってクッキーやケーキの色があまりきれいに出ないんです。卵黄は弱酸性なので、野菜パウダー入りのお菓子を作る場合は、卵白を入れずに卵黄だけを入れるときれいな色が出せます。卵を入れないお菓子については、酸性のレモン汁やヨーグルトを使って、生地を酸性にするときれいに発色させることができます。とくに焼き菓子は焼いてしまうと色がくすんでしまうことが多いですが、こういうものを入れてやることによって、焼き上げてもきれいな色を保つことができます。メレンゲに色をつける場合は、あらかじめレモン汁で野菜パウダーを溶いておけばきれいな色になります。紅芋はアルカリ性の場合は青で、酸性の場合は紫色という2色使いもできます。こういうのも野菜パウダーならではのおもしろさだと思います。

− これから取り組んでみたいことは何ですか?

中村 野菜パウダーを使ったスイーツ商品の開発やペット用食品の開発をしてみたいです。子どもの食育にために、親子ケーキ教室もできたらと夢をふくらませています。いつか、野菜パウダーを使ったレシピブックも出したいです。