夫婦円満の秘訣はほろ苦さにあり!フーチバー農家城田さんご夫妻

1.夫婦2人3脚! 城田さんご夫妻とフーチバーの出会い

「もう、やり始めて10年になるかねぇ」
フーチバー農家を夫婦で切り盛りしている、夫の正徳さんと妻のキクさん。
当初、畑はキクさんが主に管理をしており、正徳さんはまた別のお仕事をしていたといいます。

「僕らがね(フーチバー栽培を)やり始めた頃は9人くらいの同年生の農業仲間がいたんだよ。
今はみんな年をとってお休みしてしまっているね。残っているのは、2人くらいかねぇ」
と、正徳さん。

キクさんはそれを聞きながら、静かにうなずきます。

2.沖縄の健康食材フーチバーって?

▲効能の多さから別名「仙人草」や「万病薬」とも呼ばれています。

沖縄の数ある島野菜の中でも、ひときわ食物繊維の含有量が高いフーチバーは、沖縄の方言でヨモギのことを指します。
沖縄のヨモギは本州のものよりも苦みが少なく、葉の柔らかな「ニシヨモギ」という種類。
そのため生のままでも食べることもできるのだとか。


▲フーチバーの食べ方までも詳しく教えてくれる城田夫妻

フーチバーは沖縄料理には欠かせない素材のひとつ。
例えば、沖縄そばのトッピングや、肉汁、魚汁、ヤギ汁などのクセの強い汁物の
臭みを消すための薬味としてよく使われています。

さらに、昔からリウマチや冷え症、貧血や神経痛などたくさんの疾患の治癒に用いられてきたのだとか。
食物繊維やビタミン類の他、カルシウム、カリウム、鉄分などのミネラルを多く含んでおり、健康維持にもぴったりの食材です。

3.フーチバーを育てているのはこんな所!


▲城田さんの畑は複数あり、その広さは合計900坪ほど!

取材当日は大雨が降った後だったので、畑はかなりぬかるみ靴の裏はすぐ泥だらけに。
それでも気にせず畑へとズンズン入っていく夫妻は、さすがプロの農家さんです。

「ここらへんの土は『島尻マージ』というんだよ」と、教えてくれた正徳さん。
島尻マージとは、琉球石灰岩を母材とする土壌であると言われています。

保水力が低く水はけが良いので、ニンジンやジャガイモなど根茎作物の栽培に適しているそう。

4.フーチバーを育てるうえで大切にしていること


▲「何にでも一生懸命になることが大切だよ」と、語る正徳さん

「フーチバーが持つ独特な匂いと、本来の生命力の強さから他の植物も虫も寄せ付けない。
だから農薬はほとんど要らないんだよ」と正徳さん。

自然本来の特長を生かし、必要以上の農薬を使わないのは「食」の安心・安全につながること。
城田さんご夫妻のこだわりや優しさが垣間見えます。


▲慣れた手つきで、素早くフーチバーを刈り取ります。

ご夫妻に、どのような1日を送っているのか伺ってみました。

「明け方前の3時頃に畑に入り、暑くなる前に日の出とともに帰る。こんな生活をずっと続けているよ」
あまりにも早い1日のスタートに驚いていると、正徳さんは、こう続けました。

「僕が好きな民謡曲『汗水節』の一節に『汗水を流して働いている人が心嬉しい事は、よその人は知るまい』っていう詞があるんだけどこの心持ちで、日々畑に向かっているんだよ」

とても心に染み入る歌詞と城田さんご夫妻のひたむきな姿が重なり、自然と尊敬の念がこみ上げてきます。